公認会計士になるまでの具体的な勉強法~修了考査編~

「会計士 勉強法」で検索しても、公認会計士受験生が求めているであろう勉強法に特化した記事が見つからなかった。

特に、終了考査については、勉強法に関する記事がほとんどなかったため、自身の経験を生かして体系化してみた。

 

この記事を開いていただいた方はこんなことを考えていると思います。

会計士の修了考査の効率的な勉強法を知りたい。
・修了考査の記事は少ないので、みんなどれくらい勉強するのか教えて。

 

この記事では、こういった疑問に答えます。

この記事の内容

  • 修了考査という試験の特徴
  • 修了考査の科目別の勉強法

 

記事の信頼性

修了考査は、論文式までの試験に比べ、受験生の7割が合格できる試験といわれてきたため、合格したからといって信頼性につながるとは思いえない。そのためこの記事用に、自分以外の合格者にも軽いインタビューをしたことをまとめてみようと思う。

 

※記事は3分くらいで読み終わります。深掘りした解説とかは、関連記事を貼っておきました。

 

公認会計士になるまでの具体的な勉強法~修了考査編~

 

まずは総論的な考え方を以下に沿って説明します。

  • 修了考査を受けた感想
  • 進め方の全体像
  • 過去問と答練について
  • 監査法人勤務の方へ
  • 監査法人以外に勤務されている方へ

 

修了考査を受けた感想と戦略

試験を終えた直後の感想は、「これほど手ごたえのない試験は初めてだ」という感じだと思います。僕はそうでした。

周りの受験性と話す中でも同様の意見が多く、直前の試験勉強がこれほど役に立たない試験は他にないんじゃないかと思います。その点も踏まえ、全体的にな戦略を示しておきたいと思います。

 

まずは、予備校選びですが、これはどちらでもいいと思う。誰しも隣の芝生は青い状態になりますので、「情報を集約する教材がわかる」という点で、短答・論文の際に利用した予備校を選ぶのがいいと思います。

 

進め方の全体像

まずはじめに、どれくらい真剣に勉強すればいいかをはっきりとさせておきます。

 

まず、監査法人で監査をしている人は、「2週間/1日8時間のような、フルで勉強する必要はないかな」くらいの感覚です。やはり、ほとんどの受験生が仕事をしながら望む試験のため、白紙解答も多く、さほど競争は激しくない印象です。

ちなみに分かりやすいように、合格できない3割の人たちがどんな構成か想像してみました。

  1. 監査法人外で働いていて、試験休暇もない人たち
  2. 願書は出したが、2日間受験ができなかった人たち
  3. よほどの勉強してこなかったか、特定の科目で大失敗をして足切りした人たち

 

ほとんどの人は、3に入らない程度の基本的な知識を復習する感覚でよい。ただし、租税法の計算は、忘れている人が多いと思うので、2回は問題集を回そう。

なお、2018年年度に合格率が極端に下がった要因は、上記の1に該当する受験生が増えたからという噂です(あくまで噂ですが、、)。この記事で紹介するくらいの最低限の学習をしていれば、問題なく合格できると思います。

 

1の監査法人外で働いている方は、監査の実務経験もないため、それなりに前もって準備をすべきだと思います。具体的には、10月の終わり頃から、テキストの復習と例題を1周くらいは行うことを想定しています。

 

過去問と答練について

会計実務・監査実務については、一度でいいので過去問をきちんとやることをお勧めします。できれば、勉強期間の最初の段階がいいと思います。

 

理由は、本試験の問題の性質を正しく認識することが、仕事との両立も踏まえた全体の効率性に大きく関係してくると感じたからです。

 

また、「自分が2~3時間の試験を集中してできないこと」や、「勉強したことが反映されにくい試験であること」を身をもって体験してみてください。こう書いていても、実際に3時間テストをする方はかなり少ないと思いますが、少なくとも会計実務の過去問には、きちんと向き合うことをお勧めする。

 

監査法人勤務の方へ

特に監査法人勤務の方向けにはなるが、仕事で使うことを強く意識して学習するといいと思います。

 

実務試験であるため、普段の仕事に直結する内容ばかりを学習することになる。毎日忙しい日々を過ごす社会人にとって、集中して勉強できる時間も限られている。今後の自身のキャリアのためになる時間としてほしい。

 

ちなみに僕は、この時にIT委員会研究報告「ITを利用した監査の展望~未来の監査へのアプローチ~」を読んで、興味を持ち、今の次世代監査の研究の仕事の転職しました。

 

会計士修了考査の科目別勉強法

 

下記の科目について、実際に試験を受けてみた後で感じたことを踏まえて、まとめてみました。

  • 会計実務
  • 監査実務
  • 税務実務
  • 経営・IT

 

【修了考査の勉強法】会計実務

最初に、過去問をきちんと時間を測り、解くことを強くお勧めします。

 

この科目は問題の意図が非常に読み取りにくく、最初にその感覚を経験しておくことが、どのように学習すればよいかを決める指針になる。

 

基本的な学習については、まずテキストの例題を一通りやり、基本的な計算を思い出そう。理論は、計算方法のルール的なところにフォーカスして復習することが効果的。

 

【修了考査の勉強法】監査実務

「監査全体の流れと、何をどのタイミングで、なぜやるか」をきちんと理解することが重要であると感じました。

 

出題傾向は、監査基準委員会報告書や実務指針項目を箇条書きで答える問がほとんどです。しかし、暗記できる量ではないため、理解に重点を置くことのほうが、それらしい答えを書くことができると思います。

 

実際の本試験を解いている時の感覚は、まず、正解を書けるところは書き、それ以外は、自分が日々実務の中で考えていることをひたすら書くという、感想文試験であるというところでしょう。

 

大原福島先生談:監査実務は守りの科目。白紙が半分を占める傾向にあります。 箇条書き5つのうち、2個で合格、3個で十分です。本当に、本当に十分です!!

 

【修了考査の勉強法】税務実務

基本的な考え方は、論文式試験の時とほどんど変わらない。

ポイントは、浅く広くだと思う。所得税は理論としての出題が定着しているし、相続税も完全に捨てると痛い目にあう。やることは多いが、やればやっただけ点数は伸びる科目だと思う。

 

基本方針は、法人税の問題集を少なくとも2周すること。消費税は比較的簡単な問題が多いため、総合問題を最後(消費税額)まで計算する前提で問題を解こう。

 

答練については、効率性の観点から、「問題をみながら、答えを考え、すぐ答えを見て、復習する。」というレベルで十分だ。

 

ポイントは、理論の出題が思いのほか多いため、ある程度の対策をしよう。具体的には、答練の理論問題の内容について、講師の「結局~って考えればいいだけ」のような、各条文の核となる考え方だけ押さえておけばそれなりの回答が書けるはずだ。

 

【修了考査の勉強法】経営・IT

足元をすくわれないだけの対策(主に計算問題)をしていれば十分で、テキストを読む必要もない。

 

ただ、ITの実務委員会報告QAについては、これまであまり触れてこなかった内容もあり、仕事の現場で直接役立つ話が多いため、読み物として純粋に楽しみながら読めるはずなので、ぜひ通して読んでみることをお勧めする。

 

【修了考査の勉強法】職業倫理

いい子ちゃんになって、優等生の作文をすればOKな科目。その認識だけして、後は前日に用語を少し思い出せば何とかなります。

 

まとめ:公認会計士試験・修了考査の勉強法

この試験に合格できれば、真の公認会計士です。たとえ、合格したばかりであっても、プロフェッショナルとして振る舞う必要がある。 

 

でも、実際の知識レベルは、みんなそんな大したことないと思う。

 

新人が仕事の現場で覚えることは、「どのように理論的なの建付けを整理するか」とか、「チーム内でどのような役割を果たすべきか」ということが大半で、知識的な成長はほとんどないと思います。

そういう意味では、一部の秀才を除けば、持っている知識はまわりの受験生もそこまで変わらないでしょう。

 

あまり肩に力を入れず、今まで学んできた知識の総復習をするくらいの軽い気持ちで、本番だけ頑張って、作文しっかりやりましょう!!